Katana to Kitchen

包丁・刃物用語集

片刃、両刃、裏すき、中子など、日本の刃物選びや手入れに役立つ専門用語集です。

和包丁の構造

包丁の各部名称と役割

切っ先 (Kissaki)細工・繊細な切り込み峰・棟 (Mune)刃の背部分・厚みの基準鎬筋 (Shinogi)刃先・刃線 (Ha)食材を切断する主要部アゴ (Ago)ジャガイモの芽取り・硬い根元切りマチ (Machi)柄と刃元のくびれ口金・角巻 (Kakumaki)水牛角・木の割れ防止柄 (E) & 中子 (Nakago)朴の木・内部に鋼の中子を固定
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1. 包丁の部位に関する用語

包丁を構成する各部位の名称と役割です。

23 件の用語

刀身(とうしん) / ブレード

柄(ハンドル)を除く、包丁の刃体全体のこと。

刃体(はたい)

切っ先から柄部までの長さ(刃体長)を示す法律上の部位名称。

刃渡り(はわたり)

切っ先からアゴ(マチがある包丁はマチ)までの直線距離。実効的な刃の長さを指す。

切っ先(きっさき) / 鋒

刃線の最も先端の部分。細かい作業や飾り切りなどに用いられる。

刃先(はさき) / 刃線 / 刃道

切れる刃がついている先端のライン全体。

刃元(はもと) / ヒール

刃線のうち、柄に近い部分。コントロールがしやすく力が入る部位。

峰(みね) / 棟(むね) / 背

刃体の背側の部分。刃がついていない厚みのある側。

アゴ(顎)

刃元の柄側から直角に突き出している角の部分。ジャガイモの芽取りなどに使用される。

マチ(区)

刀身と中子の境目にある段差。刃側の段を「刃マチ」、峰側の段を「棟マチ」と呼ぶ。

平(ひら) / 腹

刀身の側面にあたる平面部分。ニンニクを叩き潰す際などにも使われる。

切刃(きりは)

鎬筋から刃先にかけて傾斜している平面部分。

鎬筋(しのぎすじ) / 鎬

平と切刃の境界線となる角・筋。

裏すき(うらすき)

和包丁(片刃)の裏面にある凹み。食材の貼り付きを防ぎ、研ぎ面を減らして研ぎやすくする役割がある。

裏押し(うらおし)

裏すきの周囲にある平らに研ぎ出された枠部分、またはその研ぎ作業。

刃境(はさかい)

合わせ包丁で見られる地金と鋼の境目模様。

中子(なかご) / 茎(タング)

柄の内部に差し込まれて固定されている刀身の根本部分。

桂(かつら) / 口輪・口金・角巻

柄の挿入口を補強し割れを防ぐパーツ。水牛角製(角巻)、金属製(口金)、樹脂製(PC桂)などがある。

柄(え) / ハンドル

手で握る部分。朴の木や樫、八角柄、ステンレス一体型など様々な材質・形状がある。

柄尻(えじり)

柄の最も末端の部分。

鋲(びょう) / リベット

洋包丁の柄と中子を挟み込んで固定する金具。

フィンガーガード

手が滑って刃に触れないよう、柄元や刀身基部に設けられた保護構造。

鎚目(つちめ)

鍛造時にハンマーで打たれた痕。デザイン性のほか、食材離れを良くする効果もある。

ディンプル

切った食材が刃にくっつくのを防ぐため、表面に施された浅い窪み加工。

2. 包丁の種類に関する用語

伝統的な和包丁から現代の洋包丁まで、用途に応じた各種包丁の名称と特徴です。

19 件の用語

和包丁

日本刀の技術から発展した伝統包丁。片刃が多く、引いて切る調理に適する。

洋包丁

明治以降に西洋から導入された両刃主体の包丁。押して切る調理に適する。

三徳包丁(万能包丁・文化包丁)

肉・魚・野菜の3つの食材に対応できる日本の代表的な家庭用包丁。

牛刀(シェフナイフ)

刃渡りが長く幅が狭い洋包丁。肉の切り分けをはじめ万能に使える。

ペティナイフ

小型の洋包丁。果物の皮むきや細工切り、小回りの利く作業に向く。

出刃包丁

魚をおろす、魚の頭や骨を断ち切るために作られた厚手で重量のある片刃包丁。

柳刃包丁(刺身包丁・正夫)

刺身の断面を壊さずに一気に引いて切るための、細長く尖った片刃包丁。

蛸引包丁

関東型の刺身包丁。刃先が角型で直線的な刀身を持つ。

ふぐ引包丁(てっさ包丁)

ふぐ刺し(てっさ)用に特に薄く鋭利に作られた専用の片刃包丁。

薄刃包丁

野菜の千切りや桂剥きなどに用いられる、四角い刃を持つ和包丁。

菜切包丁

両刃で刀身の幅が広く、野菜を切ることに特化した家庭用包丁。

筋引包丁

大きな肉のブロックから筋を取り除いたり、薄切りにするための細長い洋包丁。

骨切包丁(鱧切包丁)

ハモなどの小骨を皮を残して細かく切り刻む(骨切り)ための重厚な包丁。

鰻裂き(うなぎさき)

ウナギを捌く専用包丁。江戸裂・京裂・名古屋裂など地域ごとに独自の形状がある。

舟行包丁

漁師が船上で魚の調理や雑用全般に使っていた多目的和包丁。

身卸包丁

出刃包丁よりも身幅が細く、魚をおろす作業と刺身にする作業の両方に対応した包丁。

麺切包丁(蕎麦切・うどん切)

伸ばした生地を均一な幅に切り揃えるための大型の直刃包丁。

中華包丁(方頭刀)

幅広で四角く重量感のある包丁。叩き切りから細切りまで幅広くこなす。

パン切り包丁

焼きたてのパンや柔らかい生地を潰さずに切るための波刃ナイフ。

3. 構造・形状に関する用語

包丁の刃の断面形状や刃付け、鋼材の接合構造に関する専門用語です。

9 件の用語
片刃の真髄

裏すき(Urasuki)と裏押し(Uraoshi)の構造

裏すき (Urasuki)食材との摩擦を減らし、刃離れを極大化裏押し (Uraoshi)砥石に当たる外周の精密な平面💡 なぜ和包丁は裏を凹ませるのか?1. 砥石に当たる面積が狭く、研ぎやすい2. 刺身などの切り身が刃に張り付かない3. 刃先が極限まで鋭く研ぎ出せる

片刃(かたば)

刀身の片面のみに傾斜(切刃)がある構造。食材をまっすぐ薄く切り離すのに優れる。

両刃(りょうば)

刀身の両面に均等な傾斜がある構造。切り込みがまっすぐ進み扱いやすい。

刃付け(はづけ)

刃先につけられる角度や形状。

本焼き(ほんやき)

単一の高級鋼材(ハガネ)のみから鍛造・熱処理して作る和包丁の最高峰構造。

霞(かすみ) / 合わせ・割込み

軟鉄(地金)と硬い鋼(刃金)を貼り合わせた多層構造。扱いやすくしなやかさを持つ。

ダマスカス鋼

異種金属を多層に重ね合わせ鍛造することで、刀身に優美な木目状の波紋が現れるブレード。

糸刃(いとは) / 小刃(こば)

刃先に極僅かな角度をつけて研ぎ出し、刃こぼれを防ぎ長切れさせる仕上げ。

ハマグリ刃

刃の断面がハマグリの貝殻のように緩やかな丸みを帯びた形状。切れ味と耐久性を両立させる。

本刃付け(ほんばづけ)

手研ぎによって包丁本来の鋭い切れ味を極限まで引き出す最終仕上げ作業。

4. 金属・鋼材に関する用語

包丁の切れ味、研ぎやすさ、防錆性を左右する様々な鋼材と素材の特徴です。

13 件の用語

ハガネ(炭素鋼)

鉄と炭素の合金。錆びやすいが鋭い切れ味と研ぎやすさを併せ持つ。

ステンレス鋼

クロムを添加してサビにくくした扱いやすい刃物用金属素材。

安来鋼(やすきはがね)

日立金属(現プロテリアル)安来工場で製造される、伝統たたら製鉄の流れを汲む高品質刃物鋼。

白紙(しろがみ / 白鋼)

不純物を極限まで取り除いた純粋な炭素鋼。極めて研ぎやすく鋭利な刃がつく(白1号・白2号など)。

青紙(あおがみ / 青鋼)

白紙にクロムやタングステンを加え、耐摩耗性と長切れ性能を高めた最高級鋼(青1号・青2号・青スーパー)。

銀三鋼(銀紙3号)

ステンレスでありながらハガネ(白紙)に近い切れ味と研ぎ心地を持つ高級ステンレス鋼。

VG10(V金10号)

コバルトやモリブデンを含有し、硬度・耐久性・防錆性のバランスに優れる世界的人気の高級ステンレス鋼。

粉末ハイス鋼(SG2 / R2)

粉末冶金技術で作られる超高硬度鋼。驚異的な切れ味の持続性と耐食性を誇る。

日本鋼(SK材)

炭素工具鋼。リーズナブルで切れ味が良くコスパに優れるが錆びやすい。

玉鋼(たまはがね)

たたら製鉄法で生産される、日本刀の原料となる最高純度の鋼。

地金(じがね)

刃の土台となり衝撃を吸収する極軟鉄や不鍛鋼。

芯材(しんざい) / 刃金(はがね)

割込み構造の中心にあり、実際の切れ味を担う高硬度の鋼。

セラミック

ファインセラミックス製のブレード。非常に軽く錆びないが、衝撃による欠けに弱いため取り扱いに注意を要する。

5. 鍛造・製法・熱処理に関する用語

炉、鎚、熱処理によって鋼を鍛え上げる職人の伝統的製法に関する用語です。

10 件の用語

鍛造(たんぞう) / 火造り

鋼材を炉で高温に熱し、ハンマーで叩くことで不純物を除き組織を密にして強靭にする工程。

鍛接(たんせつ) / 沸かし付け

地金と鋼の間に硼砂などの接合材を挟み、1000℃前後の高温で叩いて圧着させる技法。

二枚広げ(にまいひろげ)

越前打刃物の伝統技法。2枚の刃を重ねて叩き伸ばすことで、冷めにくく均一で薄い刃に仕上がる。

焼きなまし

鍛造後、ゆっくり時間をかけて冷まし、内部のひずみを取り除いて柔軟性を戻す工程。

焼き入れ(やきいれ)

800℃前後に熱した鋼を水や油で急冷し、硬度を劇的に高める最重要工程。

土置き(つちおき) / 泥塗り

焼き入れ時に急冷による割れを防ぎ、また本焼き包丁特有の美しい「波紋」を生み出すために塗る泥・粘土作業。

焼き戻し(やきもどし)

焼き入れ後に150〜200℃前後で再加熱してゆっくり冷まし、欠けを防ぐ粘り(靭性)を与える工程。

歪取り(ひずみとり)

熱処理で発生した刀身の歪みを、ハンマーや金床で微細に叩いて真っ直ぐに補正する技法。

型抜き(抜き刃物)

鋼板をプレス機で包丁の形に打ち抜いて効率よく量産する現代的製法。

銘切り(めいぎり)

タガネとハンマーを使い、完成した刀身に職人名やブランドの銘を刻印する作業。

6. 砥石・研ぎ・手入れに関する用語

包丁の切れ味を維持し、末永く愛用するための研ぎ道具やメンテナンスに関する用語です。

16 件の用語

砥石(といし)

すり減った刃先を削り落とし、切れ味を復活・整えるための研磨ツール。

人造砥石

研磨粒と結合剤を人工的に焼き固めた、品質が均一で扱いやすい砥石。

天然砥石

自然の地層から採掘される砥石。鋼材の持つ性能を限界まで引き出し、繊細な切れ味と美しい霞仕上げを可能にする。

荒砥石(あらといし)

番手#200〜#400程度の目が粗い砥石。刃こぼれの修正や大きく形状を変える際に使用。

中砥石(なかといし)

番手#1000前後の標準的な砥石。日常的な研ぎ直しや刃作りの中核となる。

仕上げ砥石(しあげといし)

番手#3000〜#8000以上の目が細かい砥石。研ぎ傷を消し、繊細で極上の切れ味に磨き上げる。

番手(ばんて)

砥石の粒度の荒さを表す数値(#300、#1000、#6000など)。数値が大きいほど粒子が細かくなる。

カエリ / バリ / マクレ

研ぎ作業によって刃先の反対側に現れる非常に薄い金属のめくれ。刃先までしっかり研げた証拠。

研ぎ汁(とぎじる)

研ぐ際に出てくる水と研磨粉・金属粉が混ざり合った泥。研磨効果を高めるため洗い流さずに研ぐ。

面直し(つらなおし)

使ううちに凹んでしまった砥石の表面を、専用の面直し砥石などで平らに修正する作業。

名倉砥石(なぐらといし)

仕上げ砥石の目詰まりを解消したり、きめ細やかな研ぎ汁(泥)を出すための補助砥石。

シャープナー

研ぎ部に刃を通して滑らせることで一時的に切れ味を復活させる簡易研ぎ器。

革砥(レザーストロップ)

革の表面に研磨剤をつけて刃先を撫で、微細なバリを取り除いて極上の刃に仕上げる用具。

パティナ(黒ずみ)

炭素鋼包丁を使用していくうちに生じる薄い酸化皮膜。有害な赤サビを防ぐ保護膜の役割を持つ。

サビ取り(錆落とし)

クレンザーやサビ取りゴム、砥石などを用いて発生した赤サビを落とす手入れ。

椿油(つばきあぶら)

炭素鋼包丁を長期間保管する際、酸化・サビを防ぐために刃面に塗布する不乾性油。